夫や妻の不倫に対して慰謝料請求を自分で行おうと思っている方の中には
「示談ってどうやってするの」
「不倫関係を終わらせることができるの」
「少しでも多く慰謝料を取りたいけど」
など、具体的にわからないことも多いはず。
そこでこの記事では、不倫の慰謝料請求の示談について
実際に不倫トラブルにあった筆者が、わかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、慰謝料の示談についての方法や、示談書の書き方、気を付けるポイントがわかるようになります。
慰謝料の示談交渉の流れがわかりますので、まずはご一読ください。
Contents
不倫慰謝料の示談とは

不倫が発覚した場合、不倫をした配偶者と不倫相手に対して精神的苦痛による慰謝料請求ができます。
慰謝料を請求する方法は、当事者同士で話し合い解決する示談交渉と調停や裁判所を利用する方法があります。
不倫の示談とは、夫や妻に不倫があった場合、当事者同士が話し合いにより不倫問題を解決することです。
- 具体的な示談の内容は
- 慰謝料の請求や支払い方法
- 不倫関係の解消
- 守られなかった場合のペナルティー
などを、決定し示談書に証拠としてまとめ解決します。
不倫への慰謝料を示談交渉にするメリット

不倫の慰謝料を示談交渉にするメリットは大きく分けて4つあります。
- 早く解決することができる
- おおごとにならない
- 請求額を高額にできる
- 浮気相手と別れさせることができる
それぞれ詳しく説明していきます。
早く解決することができる
慰謝料請求を示談で行う場合、裁判にくらべ早く解決することができます。
裁判になると、訴状の提出から出廷などが裁判所のスケジュールで行われるので、解決までに1年以上かかってしまうことが多いです。
ですから当事者同士で話し合いを行う示談は早期の解決が望めます。
早い場合、1カ月以内で示談成立になる場合もあります。
おおごとにならない
当事者同士の話し合いなのでおおごとにすることなく、解決することができます。
裁判になる場合、専門的な知識も必要になり弁護士への依頼も必要になるでしょう。
場合により裁判所への出廷もあります。
期間も長引き徹底的に争うことになりますので、おんびんに済ませることは難しいでしょう。
示談なら当事者同士の交渉なので、周りに知られず行えます。
請求額を高額にできる
一般的な相場はあるものの、相手の合意さえあれば高額な慰謝料を請求することが可能です。
相手がお金での解決をのぞむ場合はさらにスムーズに話が進みます。
しかし裁判になると、最終的には裁判所が慰謝料の決定をするため思い通りの慰謝料は受け取れません。
少しでも多く慰謝料を取りたいなら、示談交渉が有効です。
浮気相手と別れさせることができる
慰謝料の請求だけでなく、示談書の内容に「不倫関係を終わらせること」や「二度と会わないこと」「不倫関係を口外しないこと」などを盛り込み約束させることができます。
口約束だけでなく、書類として残しておけば同じ過ちを繰り返すことを防げます。
不倫相手への慰謝料を示談交渉にするデメリット

早期の解決、慰謝料の増額などメリットが多い示談交渉ですがメリットばかりではありません。
デメリットも併せて解説していきます。
相手が納得しないと成立しない
慰謝料の金額や支払い条件など、相手が納得しないと解決できません。
こちらの意見が全て思い通りになることはむずかしく、相手の主張も考えながら柔軟に対応することも必要です。
慰謝料の金額や支払い方法など相手の事情も考えながら交渉していかなければなりません。
慰謝料の支払いがされないことがあるので注意
示談書に法的な強制力はなく、支払いが行われなくても相手の財産を差し押さえたりすることはできません。
そのような時のために示談書を「公正証書」として作成しておけば相手が支払わなくても泣き寝入りする必要はなくなります。
裁判を起こさなくても裁判の判決と同じ効力があり、慰謝料が支払われない場合は給与の差し押さえができます。
相手との合意内容を記載しておくことにより、慰謝料の未払いなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
慰謝料の支払いや、分割払いなど支払いに不安がある場合は作成しておくほうがいいでしょう。
不倫相手への慰謝料の示談金相場はいくら?

示談の場合、相手の合意さえあれば慰謝料の上限は決まっていません。
だからと言って、いくらでも請求してもいいというわけではありません。
一般に裁判の場合、不倫に対する慰謝料は50万円から300万円が相場と言われています。
相場に関連して表にまとめました。
慰謝料が高くなる | 慰謝料安くなる | |
不倫が原因で離婚 | 離婚する | 離婚しない |
不倫の期間 | 長い(1年以上) | 短い(半年未満) |
肉体関係の回数 | 多い(20回以上) | 少ない(10回未満) |
子ども | 有り | 無し |
社会的地位・収入 | 高い | 低い |
結婚期間の長さ | 長い(10年以上) | 短い(5年未満) |
たとえ示談だとしても、一般的な相場を参考にして決定しないと交渉の時にトラブルになります。
不倫相手への慰謝料、請求するタイミングはいつが良いの?
慰謝料を請求するタイミングは不倫が発覚してから、早いほどよいです。
相手側も不倫がバレてしまってからは証拠を隠そうとするので、時間がたつほど追求はむずかしくなっていきます。
さらに慰謝料の請求には発覚してから3年の時効があります。
証拠を集めたり書類を作成したり時間がかかりますので、なるべく早い時期に慰謝料の請求ができるよう準備しましょう。
不倫相手への慰謝料示談の方法は3つ

示談交渉には大きく分けて3つの方法があります。
- 当事者同士が直接会って、話し合い解決する
- 内容証明を利用して書面のやりとりで解決する
- 弁護士を代理人として相手と交渉する
詳しく解説していきます。
当事者同士が直接会って、話し合い解決する。
当事者同士で話し合うことで早く解決することができます。
お互いに解決を求めている、または冷静に交渉できる場合に有効です。
具体的には
- 夫婦関係の修復が目的で、不倫相手と別れることが前提
- パートナーと不倫相手が全面的に非を認めている
など、交渉しやすい時は話し合いでの解決が望めます。
1人で不安な時は、信頼できる人に立ち合いをお願いしましょう。
内容証明を利用して書面のやりとりで解決する
内容証明郵便を使うことで、相手に会わずに示談交渉ができます。
自分の意思が文字として伝わるため、言葉の誤解や感情が表に出ないので交渉がスムーズに。
また、相手に会わないので精神的負担が少なく慰謝料請求をためらうこともなくなります。
書類作成だけなら、弁護士や司法書士などの専門家にお願いしても数万円程度で作成することが可能です。
弁護士を代理人として相手と交渉する
弁護士に示談の交渉をお願いすれば書類作成から示談成立まで依頼できます。
メリットとして
- 不安なことは相談できる
- 法律のプロなので、交渉がスムーズ
- 書類作成に不備がない
デメリットとしては、費用がかかることです。
不倫相手と交渉するのが難しいと感じるなら弁護士への依頼がオススメです。
不倫相手への慰謝料を示談交渉する手順を解説

慰謝料を請求する方法は一つではありませんが、直接相手と話し合い解決する方法について順を追って説明していきます。
- 慰謝料請求書を作成する
- 相手に連絡する
- 不倫相手と示談交渉する
- 互いに合意して示談書を取り交わす
- 慰謝料を受け取る
次に詳しく解説します。
慰謝料請求書を作成する
慰謝料を請求する場合、あなたの希望の条件を書類として作成しておくのがいいでしょう。
相手の顔を見ながら交渉することは、専門家でないかぎり難しいことです。
例えば、慰謝料の金額や支払い方法、不倫関係の解消などを盛り込んでおけば交渉がスムーズにできます。
請求書を事前に作っておくことがオススメです。
相手に連絡する
慰謝料を請求するには、不倫した相手に連絡をします。
事前に不倫をしたパートナーから聞き出すか、住所や電話番号を調べておかなければなりません。
直接会う場合、場所のことも考えておきましょう。
不倫はナーバスなことなので、おおやけの場では話がしづらいもの。
静かで、きちんと話のできる個室などを用意する必要があります。
このとき、第三者の立ち合いの準備があるなら、相手にも事前に知らせておきましょう。
不倫相手と示談条件のを交渉する
事前に用意した慰謝料請求書を読んでもらい、あなたの希望を相手に伝えます。
顔を合わせると感情的になってしまう恐れがあるので、請求書にそって話し合いを進めましょう。
話し合いは録音して記録しておけば、話し合いの時の「言った、言わない」がなく、内容を証拠としても使用することができるのでおすすめです。
互いに合意して示談書を取り交わす
不倫相手との示談交渉がまとまったら示談書にサインをして成立です。
その場で、署名・押印できるよう示談書を作成しておけば、何度も会う必要がありません。
示談書を公正証書にしておけば、慰謝料の未払いを防ぐことができます。
慰謝料の支払い
示談が成立しても慰謝料の支払いに関するトラブルが多いのは事実です
なかでも、分割払いの途中から支払いが止まることが少なくないです。
一括での支払いを求める方が良いでしょうが、どうしても分割払いになる場合は公正証書を作成しておきましょう。
不倫慰謝料の示談を成立させるためのポイント

示談を成立させるには、不倫相手を納得させるための準備を行っておくことが重要です。
証拠を集めることと、注意することを詳しく解説します。
慰謝料を請求できる証拠を集める
慰謝料を請求するためには、相手に不倫を認めさせなければなりません。
相手は慰謝料を払いたくないので、不倫を認めない場合も多いです。
言い逃れができないように証拠を集めておきましょう。
必要な証拠とは「性行為」があったことがわかるものです。
具体的に、
- 性行為などがわかるLINEなどのメッセージ
- ラブホテルに入っていく写真
- ラブホテルの領収書
- 性行為の写真
- 配偶者が不倫を認めた時の録音
など「結婚していることを知っていて、性行為があった (不貞行為) 証拠」です。
請求金額に注意
示談では、裁判をする場合より、高額な慰謝料を請求することができます。
しかし、請求できる金額に上限がないわけではありません。
相手の収入や慰謝料の相場も考えて交渉しましょう。
また、慰謝料を減額することで示談成立がスムーズに進むことがあります。
不倫の慰謝料請求時の示談書の書き方

示談書は専門家に頼まなくても自分で作成することができます。
慰謝料請求の証明書になるので示談した内容を約束させるためにも、漏れなく記載することが重要です。
具体的に分けて説明します。
- 示談書を作成する目的
- 示談書を書く時の注意事項
- 示談書に書く8つのこと
- 公正証書を使う
以下、詳しく説明していきます。
示談書を作成する目的
示談書には、目的と合意するべき内容を漏れなく書く必要があります。
しかし、慰謝料の請求はケースによってです。
そのため、個々に内容はちがいますが最低限必要とされることは
- 示談交渉を終わらせる
- 不倫関係を終わらせ、繰り繰り返さないようにする
- 慰謝料の支払いと支払い方法を約束させる
- 他言しないようにする
などです。
示談書を書く時の注意事項
示談書を自分で書く場合、後でトラブルにならないように作成には注意することがあります。
ポイントは2つ
- 簡潔にわかりやすく書く
長い文章にせず、ハッキリとわかりやすく書きます。
わかりづらい表現やあいまいな表現は誤解を生みます簡潔に書きましょう。
- 高額な慰謝料の請求
相手に支払えないような高額な慰謝料を請求することは交渉がこじれる原因になります。
相場や相手の社会的地位など考えて常識の範囲内で決定しましょう。
示談書に書く8つのこと
示談書には書かなければいけない内容があります。
示談する内容から違反した時のペナルティーなどを記載します。
作成のポイントをおさえた示談書の書き方を8つの項目に分けて詳しく説明します。
1.当事者の氏名
ご自分と慰謝料を請求する相手(不倫相手および配偶者)の氏名です。
2.不倫の事実関係
不倫が行われていた期間や内容、謝罪して認める内容です。
3.慰謝料の金額や支払い方法、支払い回数
慰謝料の支払い義務、金額、期限、方法(現金、または振り込みであれば振り込み手数料も記載する)などです。
支払いがされない時は、差し押さえなどの強制執行の合意もあわせて明示しましょう。
4.関係解消
不倫関係を終わらせ、今後一切接触しないことを約束させましょう。
「SNS、メール、電話をしない」と具体的に記載します。
約束が守られない場合は、さらに罰金を払うなど、違反についても記載します。
5.求償権の放棄
不倫の場合、慰謝料は不倫をした配偶者と不倫相手の両者が払います。
しかし、離婚しない場合は夫婦で財布が同じなので、配偶者に請求せず不倫相手にのみ慰謝料を請求することが多いです。
不倫相手は慰謝料の支払いの後に、不倫をした配偶者に対して慰謝料の半分を請求できる権利があります(求償権)
相手からも請求され問題の長期化になることは避けたいので、示談の際に権利を放棄してもらうように示談書に盛り込みます。
当たり前ですが、不倫相手は慰謝料の減額を求めてきますので、慰謝料金額が半分になってしまう場合もあります。
6.守秘義務
今後、第三者に口外することや、SNSなどネットに書き込まないことを内容に盛り込みましょう。
7.精算事項
今後一切の請求をしないことをお互いに約束します。
これにより追加の請求、不倫中のお金の貸し借りなどは精算され、示談成立をもって不倫問題が解決したことを明記します。
8、当事者の署名・押印
手書きにて実名のサイン、押印をして示談書の成立となります。
公正証書を使う
公正証書とは、公証人が法律にそって作成する証書のことです。
示談書を公正証書として作成していれば、裁判の判決と同じ効力があり、慰謝料が支払われなかったときに相手の給与の差し押さえができます。
デメリットとして、当事者同士(ご自身と不倫をした相手)が公証役場に一緒に行かなければなりません。
示談後のトラブルを避けるためにも公正証書として示談書を残しておくべきでしょう。
不倫慰謝料の示談交渉がうまくいかなかった時は

示談の話し合いは、うまくいかない場合も多いです。
相手は慰謝料の支払いをしたくないので不倫を認めない、示談交渉の場に出てこないこともあります。
折り合いがつかない場合の対応方法を解説します。
相手に意思を伝える
まずは、あなたの意思をきちんと相手に伝えましょう。
「慰謝料の請求」「法的な手段を考えている」など、書面にて通達します。
内容証明を使って郵送すればより効果的です。
その場合、示談書ではなく慰謝料請求書になります。
しかし無理矢理、合意させようとすると脅迫罪として訴えられることもありますので注意しましょう。
裁判になることも考えておく
示談交渉がうまくいかなかった場合、提訴して裁判で争うことになります。
裁判費用、弁護士による弁護士費用などハードルは高くなってしまいますが、証拠がそろっていれば負けることはありません。
精神的苦痛を我慢するくらいなら、裁判になることも考えておきましょう。
「裁判を起こす考えがある」と相手に伝えただけで、示談交渉が進展することもあります。
こんな場合は不倫相手への慰謝料示談交渉を弁護士に依頼するのがおすすめ

弁護士に依頼と言うと、裁判になり高額な弁護士費用がかかると思いますが部分的に依頼することもできます。
例えば、交渉は自分でやるので、書類の作成のみをお願いすることも可能です。
弁護士にお願いする方が良いケースを紹介します。
・書類の作成が不安なとき
何をどう書いていいかわからなかったり、自分で書いた示談書の見落としなど後で不利にならないようチェックしてもらえます。
弁護士の作る示談書は、説得力がありそれだけで交渉がスムーズになります。
・相手が交渉に応じないとき
弁護士が間に入ることで、今まで交渉を拒んできた相手がすんなり交渉の場に出てくることは珍しくありません。
誰でも、弁護士の名前入りの郵便や内容証明などが届いたら無視しづらいものです。
・証拠が少ないとき
決定的な証拠が少なくても、たくさんの証拠をつみ重ねることで、相手に不倫を認めさせることも可能です。
弁護士が交渉することで、あっさり不倫を自白することもあります。
不倫の慰謝料示談交渉をする前にやっておきましょう
不倫の慰謝料請求の示談について解説してきました。
示談する方法や示談の流れがわかったと思います。
具体的には
- 示談のメリット・デメリット
- 慰謝料の相場
- 有効な証拠
- 示談書の書き方
- 弁護士に依頼するのが良いケース
に分けて説明しました。
不倫問題は長引くほど、精神的苦痛が大きくなります。
この記事を参考に慰謝料の請求と不倫問題の解消をするために一日でも早い行動がおすすめです。
正しい知識を身につけ、早期の解決ができるよう示談交渉の準備をしましょう。
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